福利厚生を軽視してはダメ

正社員のメリットは?と聞かれれば
「安定性、バイトより高い給料、社会的信用が高い、権限がある」など色々と思い浮かぶと思います。

福利厚生はどうでしょうか?
これも間違いなく正社員のメリットのひとつなのですが、実はとても大切なメリットです。

では福利厚生はなぜ大切なのでしょうか?

目次
  1. そもそも福利厚生って何?
  2. 福利厚生があるおかけで家計の支出が減る!
  3. 将来の収入が約束される?
  4. 福利厚生が大切な理由まとめ

福利厚生とは

福利厚生のメリットを説明する前に、まず福利厚生とは何なのか抑えておきたいと思います。

福利厚生は、分かりやすく言うと使用者(会社側)が、従業員やその家族の健康や生活の福祉を向上させるために、賃金以外のサービスを提供することです。

一般的なものとして、健康保険,厚生年金,雇用保険,労災保険などがあります。
会社がこれらの保険料の半額(または全額)を従業員の代わりに払ってくれます。

他の福利厚生としては、家賃補助,社員寮,社員食堂,資格取得支援,保養所,社員旅行,クラブ活動,企業年金 などなど。
多くの場合、大企業の方がこれらの福利厚生が充実しています。

健康保険,厚生年金,雇用保険,労災保険などは法定福利厚生と言って、法律によって使用者に実施が義務付けられていますので、正社員であればこれらの福利厚生が受けられないということはありません。

福利厚生があるおかけで家計の支出が減る!

「福利厚生なんて、たいしてメリットない!」とたまにおかしなことを言う人もいますが、法定福利厚生である健康保険,厚生年金のおかげでどれだけ家計の支出が減るか説明します。

健康保険料だけでもこれだけ差がつく!

正社員として雇用されていれば、被用者保険という健康保険に加入することになります。
被用者保険とは、会社員や教職員・公務員など、サラリーマンとその家族が加入する健康保険のことで、協会けんぽ,健康保険組合,共済組合のいずれかです。

今回は健康保険の種類についての詳しい説明はしませんが、重要なのは 家族全員が加入できる ということです。
月収に応じた保険料(標準報酬月額 × 一般保険料率)で、自分と扶養している家族全員が加入できます。しかもその保険料の半分は会社が支払ってくれます。

対して、被用者保険に加入しない場合(自営業、アルバイトなど)は、国民健康保険に加入することになります。
この国民健康保険は、加入者数に応じて 保険料が上がります。

具体的な例:)
夫33歳 妻32歳(専業主婦) 子ども4歳と2歳 の4人家族で世帯年収400万円で比較してみます。

被用者保険の場合、月々の保険料は3万円ぐらいになります。半額は会社が支払ってくれますので、家計の負担は1.5万円ぐらいです。※ 給料から社会保険料としてあらかじめ控除されるので、財布の中から支払うわけではない。

国民健康保険の場合、月々の保険料は4万円ぐらい。誰も補助してくれませんので、この4万円全額を支払う必要があります。
被用者保険と比較すると、一ヶ月で2.5万円の差なので、年間で30万円の差になります。結構大きな差が生まれます。
※ 国民健康保険料の額については自治体によって異なります。上の例より高い自治体もあれば、安いところもあります。

年金の保険料でも差が・・・

給与明細の厚生年金の控除額(給料から引かれる額)の欄を見て、「高!」と思っていませんか?
これ実は、全然高くはないのです。むしろ「安!」と思うべきです。

厚生年金を正しく説明すると 国民年金(基礎年金) + 上乗せされる年金 です。
厚生年金に入っていれば、自動的に国民年金の保険料も収めていることになります。しかも、配偶者(妻か夫)が扶養であれば、その配偶者の分の基礎年金分も収めていることになります。
そして、厚生年金の保険料も会社が半分を負担してくれます。

国民年金と比較してみます。※ 夫婦(夫:年収400万円 妻:専業主婦)の合計額で比較します。

厚生年金の場合、月々の保険料は2.8万円ぐらいです。ここには夫婦2人の基礎年金分と上乗せされる年金分が含まれます。
一方、国民年金の場合、月々の保険料は約3.1万円。ここに含まれるのは夫婦2人の基礎年金分だけです。

これは厚生年金の方が家計負担額は少ないのにも関わらず、たくさん年金がもらえるということを意味します。
こんなにお得なのは、会社が保険料の半額を収めてくれるおかげです。

安定した老後

福利厚生で将来の収入が約束される?

先にも説明しましたが、厚生年金は法定福利厚生であり、正社員ならほぼ加入できます。※ 従業員が5人未満の事業所(会社)では使用者は厚生年金に加入する義務はないため100%ではない。

この厚生年金に加入しているか、していないかで、将来もらえる年金額に大きな差が出てきます。

平成26年度の国民年金(基礎年金)の受給額は月額で6.44万円でした。※満額の場合です。満額支給されるのは40年間、全て保険料を収めた場合です。

厚生年金の場合は、これに月額7万円ほどプラスして受給できます。※厚生年金に40年間加入し、その間の平均月収が30万円の場合。給料がもっと高い場合は、その分受給額も高くなります。

合計すると、受給額に倍以上の差が出ます。月収6万円と13万円では、生活レベルにも差が出てしまいます。
老後は医療費や介護費など思ったよりも、お金がかかるものです。この点を考えると、厚生年金に加入しておいて損はありません。

福利厚生が大切な理由まとめ

福利厚生が大切な理由の多くは、金銭面でのメリットでした。

  1. 被用者保険に加入することで、健康保険料の家計負担額が軽くなる
  2. 厚生年金に加入することで、より少ない家計負担で将来より多くの年金が受給できるようになる。

他にも色々なメリットがあるのですが、やはり金銭面でのメリットは大きいです。
より安定した豊かな生活を送るためには、なるべく正社員として働く方が有利だと言えるのではないでしょうか。