介護保険料の計算方法はとにかく複雑
介護保険制度の財源は被保険者の保険料と、公費(国・都道府県・市町村)で分担して負担していることは以前の記事で説明しました。(まだお読みでない方は 5分で読める介護保険のしくみ【初心者向け】)
では、われわれ被保険者(40歳以上の国民)はどれぐらいの保険料を納めればよいのでしょうか?
やはりお金は生活に関わることなので、その詳細な額が気になります。
では具体的に説明します。
まず、介護保険料は被保険者全員が一律の額ではありません。
第1号か第2号か、また国民健康保険か会社の健康保険か、そして所得に応じて保険料は変わってきます。そして保険料の計算方法はとても複雑です。ですのでなるべくわかりやすく解説します。
第1号被保険者(65歳以上)の場合
まず、住んでいる市町村によって保険料が変わってきます。
理由は市町村によって必要な介護サービス総費用が変わってくるからです。高齢者が多い市町村では総費用は大きくなりますし、若年者が多い市町村では総費用は小さくなります。
(*介護保険の運営単位は市町村です。)
第1号被保険者の介護保険料は、市町村ごとの「基準額」と個人ごとの「所得」をもとに算出します。
基準額は
その市町村で必要な介護サービス総費用 × 20%(65歳以上の負担分) × その市町村に住む65歳以上の人口 = 保険料の基準額
という計算で求めます。
所得は12段階に分けて、それぞれに設定された倍率を基準額にかけます。
具体例を表にまとめます。(A市:基準額が60,000円の場合) *額はひとり分です。世帯ごとの金額ではありません。
所得段階 | 区分基準 | 計算方法 | 保険料 (年額) |
保険料 (月額) |
---|---|---|---|---|
第1段階 | 生活保護受給者 老齢福祉年金受給者で世帯全員が市民税非課税 |
基準額 ×0.45 |
27,000円 | 2,250円 |
第2段階 | 世帯全員が市民税非課税で 課税年金収入と所得の合計が80万円以下 |
基準額 ×0.45 |
27,000円 | 2,250円 |
第3段階 | 世帯全員が市民税非課税で 課税年金収入と所得の合計が80万円超120万円以下 |
基準額 ×0.7 |
42,000円 | 3,500円 |
第4段階 | 世帯全員が市民税非課税で 課税年金収入と所得の合計が120万円超 |
基準額 ×0.75 |
45,000円 | 3,750円 |
第5段階 | 世帯に市民税課税の人がいて 課税年金収入と所得の合計が80万円以下 |
基準額 ×0.9 |
54,000円 | 4,500円 |
第6段階 | 世帯に市民税課税の人がいて 課税年金収入と所得の合計が80万円超 |
基準額 | 60,000円 | 5,000円 |
第7段階 | 本人が市民税課税で 所得金額が147万円未満 |
基準額 ×1.1 |
66,000円 | 5,500円 |
第8段階 | 本人が市民税課税で 所得金額が147万円以上200万円未満 |
基準額 ×1.25 |
75,000円 | 6,250円 |
第9段階 | 本人が市民税課税で 所得金額が200万円以上300万円未満 |
基準額 ×1.5 |
90,000円 | 7,500円 |
第10段階 | 本人が市民税課税で 所得金額が300万円以上600万円未満 |
基準額 ×1.75 |
105,000円 | 8,750円 |
第11段階 | 本人が市民税課税で 所得金額が600万円以上1,000万円未満 |
基準額 ×2.0 |
120,000円 | 10,000円 |
第12段階 | 本人が市民税課税で 所得金額が1,000万円以上 |
基準額 ×2.25 |
135,000円 | 11,250円 |
なお、この区分基準と基準額にかける保険料率は3年ごとに見直されます。
介護保険料の地域格差についてはこちらの記事 介護保険料の地域別ランキング・比較 をお読みください。
第2号被保険者(40歳以上65歳未満)で国民健康保険加入の方
介護保険料の計算方法は市町村によって異なります。
所得割+均等割
所得割+均等割+平等割
所得割+均等割+平等割+資産割
の3つのパターンがあります。
所得割はその人個人の所得に保険料率をかけて求めますが、均等割はその世帯の被保険者の人数に応じて課税されます。平等割りは一世帯あたり何円という形で課税されます。
具体例①
モデル世帯 A市在住
世帯主:45歳(昨年中の所得 2,880,000円)
妻 :41歳(収入なし)
子 :14歳(収入なし) 12歳(収入なし)
この世帯では第2号被保険者は夫と妻の2人になる。妻は扶養家族なので、妻の分の介護保険料は世帯主がまとめて払う。保険料の計算は以下のとおり。
(所得割)288万円 × 1.90% +(均等割)15,300円 × 2人 =(年間の介護保険料)85,320円
具体例②
モデル世帯 B市在住
世帯主:50歳(昨年中の所得 2,880,000円、固定資産税40,000円)
妻 :48歳(収入なし)
子 :18歳(収入なし)
(所得割)288万円 ×2 .20% +(均等割)9,700円 × 2人 +(平等割)5,900円 +(資産割)40,000円 × 7.5% = 91,660 円
このように、まったく同じ所得の人でも住む市町村によって保険料額は変わってきます。
第2号被保険者(40歳以上65歳未満)で会社の健康保険加入の方
給与(ボーナスも含む)× 保険料率 で介護保険料が計算できます。
保険料率は各保険団体で異なります。例えば、平成26年度の協会けんぽの場合は1.72%となっています。
標準月額が30万円とすると、300,000 × 1.72% = 5,160円 が月額の介護保険料になります。
ですので年間では 5,160 × 12 = 61,920円 ということになります。
まとめ
介護保険料は年齢や住んでいる地域、加入している健康保険の種類などによって納める額が違ってきます。また、計算方法も違ってくるので一概にこの額になりますという風に計算できません。
正確な保険料がお知りになりたい方は、会社が所属する健康保険組合や住んでいる市町村にお問い合わせください。
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