老人ホームというと特養という言葉をよく耳にする人も多いはず。
正式名称は特別養護老人ホームであり、自宅での生活が困難な高齢者とその家族にとってはなくてはならない施設となっています。今回は特別養護老人ホームの概要や現状をご紹介しましょう。
介護老人福祉施設に該当する特養
老人福祉法により指定された特別養護老人ホームは、介護保険法によって介護老人福祉施設の指定を受けています。
介護老人福祉施設とは、自宅での自立生活が困難で、家族の介護も受けられず、訪問介護による介護も困難な場合に、入所施設として適切なサービスを提供する場のことをいいます。
一番の大きなメリットは介護保険が適用されることによる費用の安さであり、民間業者が行っている有料老人ホームとの違いが大きく出る部分といえるでしょう。
利用には条件があり、要介護1から5いずれかの要介護認定を受けている必要があります。
特養にかかる費用
入所費用は世帯の所得に応じて免除制度が設けられているため、施設を利用することで家族が大きな負担を強いられるということはありません。基本的な費用は介護報酬10%と食費、居住費であり、これに要介護度別費、居室タイプ(多床室や個室かなど)の違いによる居室種類別費がかかります。
自己負担額などは細かく決められており、厚生労働省のホームページなどでも確認することができます。
入所までにかなりの時間がかかることも
費用面で非常に優れている特別養護老人ホームは非常に人気が高く、入所希望者も非常に多くなっています。
入所希望者は施設に入所申込書を提出することになりますが、その人数に見合うだけの施設数がなく、需要と供給のバランスが非常に悪い状態となっているのが現状です。
そのため入所待機者が常にいる状態が続いており、要介護度の必要性が高い人など、優先される条件が多い人ほど入所が早まる傾向にあります。地域差はあるものの、特養のほとんどが重度の要介護者であるのはこれが理由なのです。
入所希望者によっては複数の施設に入所申込書を提出し待機していることもあります。
特養不足を補う試み
入所待ちの期間が長くなればなるほど、入所希望者もその家族も不安や負担を強いられることは間違いありません。そのため特養の不足を補うために、近年では民間企業が多くの高齢者向けサービスに取り組んでいます。
わかりやすいものでいえば民間企業が運営する有料老人ホームがありますが、高齢者向け住宅などニーズに合わせたものも増えているのが特徴。
費用は特養に比べるとかなり割高になりますが、助成金や援助金などが受けられる取り組みも徐々に広がってきており、誰でも利用しやすい環境が整いつつあります。
近年は核家族化が進み、高齢者であってもひとり暮らしとなったり、老老介護となる夫婦や親子が増えたりするなどの問題も出てきています。
近所付き合いも減りつつありますから、高齢者や要介護者が自宅で暮らしていく上で、万一のことが起きる事態はできるだけ避けたいもの。そういった状況に備えるためにも、今後は特別養護老人ホームのような施設がもっと増え、利用しやすくなることが望まれます。