年齢と共に難しくなる転職事情。
思えば30代の頃はまだ余裕があったなと振り返り、40代の現実に困惑する人は多いようですが、その中で転職に成功した人の体験談をご紹介します。
30代はずっと仕事を辞めたいと思っていた
新卒で入社した広告関係の会社に20年間勤め、42歳のときに辞めた田中洋二(仮名:現在44歳)さん。
「20代の頃は勢いがあった。30代は結婚や出産といろいろ責任がのしかかり転職は考えませんでしたが、どうにも仕事が辛かった。いつも辞めたいとばかり思っていました。」
それから上の子供が働き出したタイミングで会社を退職する決意をしたという。
「ちょうどその頃に早期退職者の募集をしていたんです。会社の責任は重くなるし給料もあがらず、年齢と共に毎日の激務で疲れ果てていまして、妻はどうにでもなるからと言ってくれて、もう辞めてしまおう!と。」
悩みに悩んでいたのを分かっていて「このままでは夫が心身ともに潰れてしまいかねない」と、判断した奥様は最優先に夫の体を考えてくれたと田中さんは語る。
転職サイトでもなんでも登録した
「会社を辞めてからは本当に体調が回復しましたね、毎日朝が来ると吐き気があったのですが、それがなくなり生きているってこうだったのか。と。」
「昼間から飲むビールも最高でした。それから1ヶ月好きなようにさせてもらうと、暇になってしまったので就職活動をしました。すぐ働く気はなかったのですが、なんとなく暇というのも、悪いなと。」
当時のつらさを振り返りながらも、笑顔で語る。
会社を辞めてから悠々自適な生活に暇を持て余し、田中さんは転職サイトに片っ端から登録し、そこで転職先が見つかったとのこと。
「300通は履歴書を送りました。そのうち面接までたどり着けたのは50社ほど。
まだ働く気がなかったのですが、まぁ受かったら行ってみてもいいかぐらいな気持ちで履歴書を送り、それが良かったのかなと今では思います。
その中の1社から内定をもらい、もう働こうと再就職しました。」
仕事が決まらず悲壮感が漂っている30代40代の人は多いが、この余裕はそう出せるものではない。それほどに前職が激務だったのだろう。
また田中さんの場合「受かったら行ってみてもいいか」と受ける会社を選り好みせずに、結果、行動が伴っていたことが再就職につながったことは大きい。
そしてなにより気持ちの面で強く影響を与えたであろう、奥様の夫への気遣いや支え。
夫婦の信頼関係
「妻には本当に感謝しています。自分1人だけ昼間からごろごろしていましたからね、収入はないし。
まぁ失業保険はありましたが、将来の当てがないというのはとても不安だったと思います。ただ、何も言わないのは私の飽き性を知っていたからだと言っていましたね。」
夫の性格をよく分かっていた奥様は、すぐに無職の生活にも飽きて動き出すだろうと信じてあえて何も言わなかったようだ。
焦らされるほどに、反発したりやる気を失う人は多い。
しかしこの田中さんのケースは日ごろから夫婦間のコミュニケーションを取っていたことで、信頼関係が成り立ち“夫婦の形が転職の成功を勝ち取った”といっても過言ではない。
仕事がないからとただ焦るのではなく、転職の際はそれこそ家族の生き方そのものを見直す機会であるかもしれない。
【最後に】失敗は考えないことが大事
「前より給料は下がりましたけど、とても楽しいし体が元気になりましたね!だから最近は仕事が終わった後にアルバイトでもしようかなと思っているぐらいです!」
<転職を考えている人に一言>
「40代の転職は、失敗は考えないことが大事ですかね。年をとると失敗することや既に失敗していることなんて、とうに分かっています。だからこそ、それ以上考えても仕方ないんですよ。やるしかない。」
暗い話や失敗談が多い中、それを払拭させるような勢いのある40代の転職。
心の健康が40代の再就職には大きな原動力になる。そう感じさせてくれるに田中さんの笑顔はとても明るいものでした。